[IDOLOGYインタビュー訳]‘Swing’(Super Junior-M)プロデューサー Olof Lindskog

2014年のインタビューですが、勉強も兼ねて訳してみました。韓国のK-Pop評論サイト、IDOLOGYに掲載されたインタビューの日本語訳です。

原文はこちら [인터뷰] ‘Swing'(슈퍼주니어 M)의 프로듀서 올로프 린드스코그  http://idology.kr/577

by 김영대 on 2014/05/22

 

Olof LindskogはThe kennel  Music Publishing所属のスウェーデン出身プロデューサーだ。VIXX、4minuite、神話、少年共和国、Wassup等の曲を手掛け、最近にはSuper Junior-Mの‘Swing’に参加した。IDOLOGYはLindskogとのメールによるインタビューを行った。親切で詳しい回答をくれたLindskogに感謝する。-エディター

‐あなたはD30 としても知られているようだが、あなたの仮名、あるいは作業名なのか?

Lindskog:  D30は僕が以前活動していたチームの名前だ。今は“Olof Lindskog”  で活動している。

‐一種の共通質問をひとつしたい。ミュージシャンとしての成長過程を話してしてほしい。どうやって音楽について関心をはぐくんだのか、またどんな音楽を好んでいたのか興味深い。

Lindskog: ロックバンドでドラムをたたき始めてから、音楽への関心を抱くようになった。それがだいたい11歳くらいだったと思う。最初はGreen Dayのようなパンクロックを主に聴いていて、のちにピアノを練習し始めた。それからギターと歌をきちんと習いだした…そうやってようやくわかったんだ。僕はドラマーになりたいのではないということを。要は全部をやりたかったということだ!

‐フェイスブックをみると最近、Musikmakarnaというところを卒業した。ポピュラーミュージックの専門学校なのか?ここでどんなことを習ったのか?

Lindskog:  本当に素晴らしいところだった!すべての学生たちが全員個人スタジオを持っていて、そこで一日を過ごしながらやりたいことをする。いくつか違うコースもあるにはあったが、大部分は現代のポピュラーミュージックに関することを教えて、どうやってより良い音楽をつくるかについて習える。特記すべきこととして、僕たちの学校では業界で最も影響力があり成功しているA&R※たちを招いて、学生たちと直接あわせて会わせてくれたことだ。そのミーティングで僕たちは直接作った音楽を演奏して、彼らから直接アドバイスを聞いたりした。言葉にならないくらい貴重な経験だった。また、もうひとつ重要なことは2年間のインターンシップ課程だ。簡単に言うと、音楽出版社のために曲を書いて1週間に2回くらい彼らを訪ねて書いた曲を渡す。僕もやはりその課程を経ていて、ケネルミュージックパブリッシングと契約することになったのもその過程のおかげだった。

※Artists and Repertoire: レコード会社の新人および新曲発掘チーム

‐K-POP産業に入ったのはつい最近のことのようだ。最初はどのようにして始めることになったのか。

Lindskog: 実はK-POPの存在を知ったのは2年間のインターンシップを始めながらだった。すぐに興味が湧いた!あらゆる面で新しく実験的だと思った。

‐普段、作業がどのように進むのか。最初に韓国の事務所と連絡し、曲を作業し、録音し、政策するその過程を簡単に説明してほしい。

Lindskog: その時その時で少しずつ違ったりする。ふつうは‘共同作曲’という過程を考えればいいと思う。何人かの作曲家達が集まり、一緒に曲を書いてプロデュースをする。ふつうはパブリッシング会社が作業を主導する。だいたい‘リード’※ が渡されるが、要はA&Rやパブリッシャーたちがその時その時に求める、曲の特定の細部事項のようなものだ。それに合わせて僕たちが頭を合わせて一緒に作業を進行させる。

※リード:クライアントが、求める音楽を説明する一種のガイドライン。

‐K-POPの企画事務所、例えばSM エンタテインメントのような場合、あなたに連絡するときどんな特定の部分を要求したりするのか。

Lindskog: こんな感じだ。前に話したように、彼らが特に求めるリードを伝えてくる場合がある。もしくは僕たちが先に作業をして彼らに提出したものを特定アーティストにより合うようにもう一度修正したりブラッシュアップさせてくれと依頼を受けたりもする。

‐有名な韓国の作曲家たちと作業してきている。少年共和国の音楽(뭐하러、2013)ではパク・グンテ氏と、VIXXのアルバム(hyde, 2013)ではファン・セジュン氏、‘Swing’ではユ・ハンジン氏と一緒に行っているが、彼らとの共同作業はどういったものなのか? 特に困難はなかったのか?

Lindskog: 名前が挙がった中で僕が直接会って作業してみたのはパク・グンテ氏だけだ。本当にすばらしい才能を持った作曲家だ!もちろん困難もないわけではない。主に言語的な障壁が大きい。なので、僕個人的にはたいてい音楽を通じて直接対話し、作業をただちに進めるのが重要だと思う。僕が仕事をしたもう一人の秀でたミュージシャンにはジン・チェがいた。

※ジン・チェ:ジンバイジン、Sonic Space として活動した韓国のエレクトロニックプロデューサーで、現在ユニバーサル・ミュージック・パブリッシンググループとDsign Music所属。

‐作曲において ‘コラボレーション’は正確にはどのようになされるのか?例えば、誰かはAパートを引き受け、誰かはBパートを引き受けたりするような形の作業なのか?大概ヨーロッパの作曲家たちはチームで仕事をすることを楽しんでいるようだ。特別な理由はあるのか?

Lindskog: そうだな…、とても難しい問題だ。毎回、様子は違ってくる。ほかの人たちに聞かせたい、いいアイデアがあれば会議の時に提示して一緒に討議する。あるときはメロディーについてのアイデアのときもあるし、また、どうやってプロデュースすべきかというアイデアについてのことだっだりするときもある。例えば曲が‘こんな風に調子をとったが、サビの部分ではこんな風にもりあげなくては’という特定部分についてのことだったり。そうやってアイデアが始まって、広がっていくんだ。皆がそうやって一緒に作業のリズムにのって、曲についてのたくさんのアイデアを投げ込むんだ。

‐韓国の作曲家たちと仕事をするときに特別な困難はないのか。彼らがヨーロッパの作曲家より良い点はどんなことだとみているか。

Lindskog: 音楽的なスタイルや背景については(ヨーロッパの人たちと)確かに差異があって、その点がとても気に入っている。僕の経験では、彼らはとてもプロフェッショナルでいつも根気がある(感情の起伏がないという点)のが特徴だ。僕が韓国の音楽家たちを好きな部分だ。

‐音楽を作るとき、パフォーマンス部分を念頭に置くほうか?例えば中間にブレイクを入れたり、ダンスパートを別につくったり。

Lindskog: K-POPのために曲をつくるときの核心的部分だと思う!そしてそうやって音楽とパフォーマンスが一つに連結される面が、僕が考えるK-POPで最も好きな部分でもある。曲を書いたり、プロデュースするとき、いつもその点を念頭において音楽を‘視覚化’するために努力する。

‐SMは作曲家たちにとても細かい注文をするとよく知られている。どうやって彼らと意思疎通するのか。このような長距離疎通において特別な困難はないか。

Lindskog: 大部分はEメールで成り立っている。Skypeをすることもあるが。時には‘作曲キャンプ’が招集されることもあるが、SMのA&Rの責任者であるクリス・リーと彼のチームがストックホルムにいるときにケネルミュージックに直接来たりもする。そして彼らが求めるリードを僕たちに提供してくれ、一対一でフィードバックをしてくれたりもする。運よく、僕はSMエンタテインメントのスタジオに直接招待されたりもした。まさにそこで‘Swing’を作曲した!SMの人たちの親切さ、そのプロフェッショナルな様はとても衝撃を受けた。とてもインスピレーションにあふれた、創造的な環境だった。

‐Super Junior-Mの‘Swing’についてもう少し聞きたい。あなたが作った曲の中ではもっともファンキーな印象が強い曲だと思う。Caesar and Loui ※と作ったスタイルとはまた違った感じだ。こんな雰囲気が普段好きなスタイルなのか?

Lindskog: 特別にえり好みしているスタイルがあるわけではない。いつも新しいことを求めて独創的につくりたい気持ちがある。‘Swing’もそういう意欲の結果物だと思っている。ビートが弾けると曲の雰囲気が一気に変わってしまう、ばっと支配される感じのサビを作りたかった。

※Caesar and Loui;ダニエル・ケーサーとルドフィック・リンデルのデュオへ至るプロデュースチーム。彼らはLindskogとともにD30のメンバーでもあった。

‐全般的に‘Swing’の最終結果物は気に入ったか?ボーカルやミキシング、マスタリング全般についてはどう思うか?最終段階であるいは本人の意図したことと変わったりしたことはないのか?

Lindskog: 本当に本当に十分だった。とてもあか抜けたサウンドになり、他のSMの音楽のように全般的に完成度が高く仕上げられたと思う。ボーカルトラックが加えられた最終完成版を聞くのはいつも驚きであり、気分がいいものだ。僕たちが最初に歌を伝えたときは大部分が英語歌詞でできているが、そこから韓国の作詞家たちが韓国語にもう一度作業する。特にミュージックビデオになった最終結果を見るときはいつも興奮する。

‐Super Junior-Mは中国語曲のためのユニットだ。知っていたか?歌を作曲するときそういう点を十分に念頭に置いて書かれたのか?例えば韓国のファンではない、中国ファンたちがより好むような要素を別に考えたりとか?

Lindskog: Super Junior-Mが中国を狙ったユニットだということは当然知っていた。でも特別にその点を意識してほかになにかしたりはしなかったと思う。当時のシーンで、最大限クールで独特な曲を作ることに集中したと思う。

‐私たちが聴くとあなたのサウンドはどっしりとしているというよりは鋭い方に感じる。あなただけの独特なサウンドをつくるためにどんな機材を使用しているのか、少し詳しく教えてほしい。

Lindskog: 好みの問題だと思う。個人的にはきれいで質の良いサンプルとシンセ音源を使うのが好きで、音源を抜き気味に配置しようとする方だ。何よりリスナーたちがボーカルやフックのような重要な要素にちゃんと耳がいき、また集中することができるように努力する。残ったそれぞれのパートが自然につながって、また空いた部分を埋める作業になるわけだ。Omnisphere, Trillian, Waves Elementなどが、僕が好んで使うシンセだ。

‐あなたの曲を聴いてみると、互いに相反するセクションが調和していること、例えば長調と短調を交差させる手法を好んでいるように感じる。‘Swing’を例に聴くと特にバックボーカルが重なる手法が印象深かった。これはやはりあなたの好みか?

Lindskog: その通りだ!興をそえながらも、聴いている人たちに耳を向けさせるような、とても単純だけど効果的な方法だ。僕が他の曲でも時々使う手法だ。

‐あなたはとても複雑な構成をタイトにつなげる手法を好みながらも、また一方では複雑な構成においてもこざっぱりとあか抜けさせることにも長けていると思う。特別なノウハウがあるのか?

Lindskog: とても多くの要素を取り散らかさないようにしなくてはならないと思う。こざっぱりしていることは重要だ。フックいくつかを取り出してそれを曲全体で再活用したりする方法もあるだろう。またはとても独特なサウンドやフックをつくっておいてそれを基盤に曲を作曲する方法もある。繰り返すが、個人の好みにすぎない。

‐ほかの作曲家たちが作ったK-pop曲を聴いたりするのか?特に興味深かったり、インスピレーションを受けた曲があるか?好きなK-pop作曲家や一番好きなグループも挙げてほしい。

Lindskog: ほかのあらゆるジャンルの音楽と同じくらい、最近はK-popをとてもたくさん聴いている。僕が最初に聴いたのはBEASTの‘Bad Girl’という曲だったが、曲を引っ張るフックのひとつが何日間か頭のなかから離れなかった。Shineeと少女時代の曲なんかもやはりとても多くのインスピレーションをくれた。ほかのSM歌手たちの音楽も同様だ。また個人的には2NE1の熱狂的なファンでもある!

‐作曲家であり、プロデューサーとして自身が考えるいい曲の基準とは何か。

Lindskog: とても個人的な基準ではあるが、つねに大多数の人たちが好むこと、そして特定の国で通じるものは何かを肝に銘じることだ。またいつも新しく新鮮なものを作ろうとすることだ。でも結局、いい曲というのは聴いている人たちに特別ななにかを感じさせること、そして聴いた後にもずっと脳裏から離れない音楽がいい音楽じゃないかと思う。

 

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