[インタビュー訳] デザイナーと共生を選択した SMエンタテインメントグループ 総括社長キム・ヨンミン

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ソウルのSMTOWN COEX ARTIUM 入口

唐突ですが、ソウルのSMTOWN COEX ARTIUMはSMファンにとっては聖地のような場所ではないでしょうか? 私のようなライト寄り?のSM 好きでも、デザイン性の高いSMアーティストのもろもろで埋め尽くされた空間に入るとアドレナリンが上がってしまい、旅のテンションと相まって、ついいろいろと買い込んでしまう…。

ということで、そんなSMTOWNや、そこで販売されている商品ブランドでもあるSUMなどの戦略について語った、キム・ヨンミンSM総括社長のインタビューを訳しました。月刊デザイン誌2016年6月号に掲載されたものです。(記事内には商品写真や制作デザイン会社等のクレジットも記載されているのですが、画像転載がはばかられたのでインタビュー部分のみを訳しています。興味のある方は原文サイトもご覧ください。)

 

原文はこちら 디자이너와 공생을 선택한 SM엔터테인먼트그룹 총괄사장 김영민 http://mdesign.designhouse.co.kr/article/article_view/101/74146

 

SMエンタテインメント(以下SM)のミュージシャンは耳にはもちろん、目にも贅沢だ。華やかな外見だけを指しているのではない。国内事務所の中で最初に社内にデザインチームを作り、スターたちのビジュアルアイデンティティをはじめとして、CDパッケージ、商品等に強力なデザインを投資する。だから目と耳が楽しく、それらのものを持っていたい。こんなSMが昨年(2015年)、総合アミューズメント空間SMTOWN COEX をはじめとして、ソウルスタイルのタパスレストランSMT SEOULとセレブリティキュレーションブランドSUMをローンチし、エンタテイメントそれ以上の底力を見せてくれた。特に様々な分野のクリエイターと協業できるプラットフォームを作るためローンチしたというSUMは、エンタテインメント産業の新しい方向を提示している。10年以上SMのもと、韓流文化の先頭企業として位置付けるべく、ビジネス戦略を陣頭指揮したキム・ヨンミン総括社長に三成洞のSM本社で会った。“共有価値創造”をキーワードにしたSM の歩みに合わせ、その名も“SMコミュニケーションセンター”というその場所で。

 

キム・ヨンミン 高麗大で社会学を専攻。1999年SMエンタテインメント海外事業チーム長として入社。2001年自社オンライン音楽ポータル ファンダンゴコリア代表理事を歴任。2005年デジタルコミュニケーションがメディアの中心となり始めた時期、代表理事に赴任し、K-POPの海外進出および新規市場開拓などを通じて真価を発揮。2008年大韓民国文化コンテンツ海外進出有功者大統領褒賞、2011年第6回アジアモデル賞授賞式国際文化交流功労賞受賞、貿易1兆ドル達成記念第48回貿易の日功労賞受賞、2013年メギョンエコノミーが選ぶ今年のCEOグローバル経営部門受賞、2014年TV朝鮮 韓国の影響力あるCEOグローバル経営部門を受賞。

 

‐SMコミュニケーションセンター1階にカフェとレストランがあり、会社がより活気づいて見えます。

SMビジネス関係者との打ち合わせは大部分この建物で行われます。1階カフェではSMがこれまで発売した音盤、MD、書籍を含めた多様な作品をアーカイブした“ライブラリー”、そしてカフェのあちこちにはセレブリティショップSUM製品および作品を展示して、SMとデザイナーが協業した作品を見ることができます。私たちと一緒にやっているクリエイターたちを一目で見渡せるというわけですよ。建物の地下1階にSUMマーケットを開いた理由もこれと似ています。SMとビジネスを一緒にする方たちがここを訪れ、直接見て感じて、具体的イメージを描けることを期待しています。

‐SMは国内エンタテインメント事務所の中で最初に社内にデザイン、ビジュアル、企画チームを設けた会社です。そのくらいセレブリティを活用したデザインとブランディングに関心が高いと思います。さまざまなデザイナーとブランドが協業した製品をお目見えさせて話題をあつめたSUMの企画背景が興味深いです。

音楽という無形の価値をCDという再生媒体を通じて商品化したのがレコードビジネスでした。音楽を購買することと同時にブックレット、アルバムデザインを含めた写真など、デザインを楽しんで所蔵するような価値を購入することだとみています。それだけにデザイン、ビジュアル、企画が音楽事務所にもとても重要だと考えます。SMは歌手のローンチと共にブランディングすることを重要視しています。歌手のグループ名、イメージ、ポジション等を総合的に企画し、ブランディングします。それと同時にSMは事務所のブランディングも平行してきました。今やさらに一段階進んで、セレブリティをブランディングするビジネスモデルに跳躍する時期が来たと判断しました。セレブリティの価値を最大化し、プロジェクト参与者皆がWIN-WINできるビジネスモデルを作るため、独自的なコマースプラットフォームブランドSUMを企画、ローンチすることになったのです。

‐SUMについて具体的に説明してください。

SUMはSMという事務所名の間に「U」を挿入して作ったブランド名ですが、これは数学の集合記号からとったものです。和集合、積集合、空集合の意味のように、時にまとめたり、出合わせたり、掠ったりして新しいものを作ろうという意味です。コンテンツをつくる事務所として芸能人の肖像権や姓名権、映像など、どんな形態でも、クリエイターとマーチャンダイザーが一つのプラットフォームに集まり使用することのできる市場があればいいと考えました。ブランドアイデンティティをはじめとして、今年の春オープンしたSUMカフェとマーケットもさまざまな専門家たちと一緒にやりました。ブランドアイデンティティ、事業企画はRANEE&COMPANYのパク・ジョンエ代表と一緒に進めました。SMコミュニケーションセンター1階とカフェ、マーケットの家具コンサルティングはホン・ヒスDESIGNSEODA代表、レストラン外食コンサルティングはキム・アリンBe My Guest代表、空間企画VMDコラボレーションはナ・フンヨンOUTLAB代表が一緒にやりました。

‐もう音盤市場はアルバム販売だけで利益を出せる時代ではないため、多様な事業を進めているようにみえます。

SMが持っている資源が何か、これをどのようにアーカイブ化し再解釈して宝物に作りあげるかがポイントです。今までは物を売って消費するマーケットが存在する時代でした。しかし、時間をコンテンツに作り出し、その時間を消費するマーケットが登場しており、これからはこの市場がより大きくなると考えています。だとしたら、何をすれば時間を楽しく消費できるでしょうか? 音楽を好きな人や好きな芸能人がいるファンたちも水を飲み、ラーメンを食べ、買い食いをするでしょう。どうせならその時間すらも自分が好きな芸能人と一緒にできるライフシェアになればどんなにいいでしょうか?例えば、ディズニーランドへ行ってミッキーマウス模様のワッフルを食べて楽しむのと同じですよ。普通のカフェで売っているワッフルと味は同じでも、ミッキーマウス模様を見て、ディズニーの世界へさらに少し深く入り込んで楽しむ時間を過ごせるのですから。

‐エンタテインメント産業でいいデザインとは何だと考えますか。

ファンの立場では芸能人に直接会って対話をすることが一番意味のある経験でしょうが、人間の体は一つなので、芸能人が多くのスケジュールを消化しながら、すべてのファンたちに応対できないじゃないですか。この時にファンと芸能人を間接的に連結してくれるのがよいデザインだと考えます。例えばアルバムの本質は音楽を聴くためのものですが、ここにデザインを加えるとその役割と価値の密度がさらに上がります。

‐SUMの未来の市場はどんな姿でしょうか?

ストーリー性があるMD商品と企画力はこれからとても魅力ある価値として見いだされるでしょう。現在、中国だけを見ても巨大市場が寄り集まっています。これから消費者は流通の三大原則という位置、規模、ブランドからさらに進み、ストーリーのあるMD商品とショップを求めるとみています。SUMのように芸能人のストーリーが込められた商品やデザイナーコラボ商品にラブコールがくると考えています。明らかなのは、私たちはセレブリティショップSUM をSM芸能人ショップだと修飾しませんでした。海外の芸能人がSUMの商品を見て「あなたたちと企画すれば、韓国の有名デザイナーも一緒にやると?有名家具会社とも一緒にできると?」という話が出るように、海外のセレブリティとも協業できるように進化するのが目標です。SUMがクリエイターとセレブリティのコマースプラットフォームだと説明した理由はまさにこのためですよ。

‐クリエイターとセレブリティをどのようにつなげることができますか。

カフェとレストラン、ショップ、スーパーマーケットなどが集まっている三成洞の新社屋をSMコミュニケーションセンターと名付けたのはデザイナーやセレブリティのような多様な分野の専門家たちがここを通じて関係を結べるよう助けていこうという意図です。SMコミュニケーションセンターのオープンと共に国内最初のコンシェルジェサービスを常時運用しています。ブランドやクリエイターがSMを訪問してどんなミュージシャンと連結し、何をできるか専門的に相談を受けるためですよ。コンシェルジェサービスの目的はセレブリティの資産にデザイン価値を加え、市場で経済性を作ることです。

‐具体的にSMが求めるデザイナーやクリエイターがいますか。

私たちの資産である芸能人たちを再解釈し、新しいものを作れる能力を持った方なら誰でも歓迎します。セレブリティの資産とクリエイターの資産が適切に結合したものが、いい結果物だと考えます。全く違う姿の創作物が出てくるのを求めているのではありません。例を挙げると、単純に有名作曲家に曲をくださいといって歌を歌ったらよい反応を得られない場合があるでしょう。作曲家が協業してみたいと思う歌手に会った時、シナジーが爆発します。具体的なクリエイター性を提示するより、SMの芸能人に関心があり、再解釈できる能力があるデザイナーならば充分です。

‐だとすると最近CSVと呼んでいるSMの新しい事業、デザイナーとセレブリティの協業プロジェクトを言っているのでしょうか。

はい。経営学のトレンドの一つである共有価値は分かち合うほど経済効果が倍化するんです。先ほど時間を消費する市場と申し上げたように、芸能人とのコミュニケーションに時間をたくさん使いたいというファン達のためのサービスを悩んで始めたことです。「芸能人の資産にデザイナーの能力を加え、魅力的な製品を生産して経済性を作ろう」というのがプロジェクトの目的で、これを実現させるため始めたプロジェクトがCSV(Creating Shared Value)です。このプロジェクトは分かったようでありながら、互いに理解するのには非常に時間が必要です。だからSMコミュニケーションセンターにSUMマーケットとショップを作ったんですよ。可視的に確認できる結果物を見ればすぐに理解できますから。

 

[SMの多様なコラボレーション製品]
SMはセレブリティと関連した多彩なアイテムをマーケットとセレブリティショップを通じて展開している。エナジーバー、ビール、ラーメン、海苔など多様なF&Bブランドと協業し、SM所属アーティストのアイデンティティを活用して特別パッケージをデザインした。また、セレブリティショップを通じてイラストレーター、製品デザイナーなど様々な分野のクリエイターが、SMコンテンツを活用してデザインした商品を販売している。

 

‐SUMが一種のショールームの役割をしているようです。共有価値や相生に関する製品の事例をよく見せてくれてもいます。

多様で新しい製品を企画、生産、流通することのできる企業であるeマートと共にeマートの代表的なPB商品の一部を協業で発売しました。また韓国の優秀な強小企業たちと多様な商品を協業しました。芸能人の写真を全面に出すこともできますが、両当事者の協業を重視できるようデザインに力を注いで制作しました。

‐デザインはどのような方式で進行したのですか?

まずSM内部デザインチームでデザインガイドラインを作りました。製品ごとにデザインをすると時間に対してかかる努力が経済的ではないですよね。具体的な実行のためセレブリティを具現化したブランディング作業をまず行い、ビジネス群を整理しました。例を挙げると漠然とした商権ではない姓名権を活用したフォント、イメージ、そしてダンスをイラストでパターン化するなど、具体的なガイドラインをつくり、多様なブランドとデザイナーが協業しました。SUMの多様な製品群は、なかったファン心もおのずと生まれるほど魅力的ですよ。特にショップは最近目に留まる若いデザイナーと作家の作品を見る面白さもあります。そういった高感度の結果物は、私ではなくプロジェクトチームのメンバーたちの努力でもたらされたものです。驚くべき実行力を持ったメンバーたちですよ。

‐昨年オープンしたSMTOWN COEX ARTIUMは売り場、体験空間、カフェ、国内最初のマルチフォーマット劇場などセレブリティとデザイン、テクノロジーが結合した様々なコンテンツを一か所に集めた形態で話題を集めました。究極的にSM 帝国を夢見ているのではないですか?(笑)

20年近く持続的にスターミュージシャンを輩出した歴史ある事務所だと考えると、可能性があるとみています。SUMをはじめとしてICTを空間につなぎ合わせたホログラムミュージカルとホログラムコンサート、SM歌手のようにトレーニングを受けられるスタジオなど1階から6階まで多様なコンテンツで充実させて構成したんですよ。これを状況に合わせてモジュール化し、全世界の市場に輸出する企画も立てています。もし、中国市場で2000坪以上の空間にSMのコンテンツを入れようとすれば、SMTOWN COEX ARTIUMのすべてのことを実現できるし、小規模空間であればその市場に合ったコンテンツだけ切り離して提案する方式になるでしょう。

‐日本ではSUMをモバイルでサービスすると聞きました。セブンイレブンと提携を結んだそうですが。

SM ジャパンが売上額900億~1000億ウォンまで成長しました。日本のファン層がしっかりと形成されています。日本はアジア地域の中でMD商品が最も多様な市場じゃないですか。そのためSUMの企画初期段階ですでに日本からラブコールを受けました。今年SMジャパン事業を拡張する予定で、SMT 東京が8月中に赤坂にオープンする予定です。(訳注:実際のオープンは12月でした。)

‐SMの核心価値であり、資産はセレブリティです。セレブリティをどのように定義しますか?

芸能人やスターと呼ばれる人がもう一段階成長して、著名の士と認識されればセレブリティだと考えます。実のところセレブリティとスターは同じ意味で使われる場合がありますが、セレブリティが単にスターと呼ばれる芸能人と違う点は社会全般に影響力を及ぼすという点だと思います。

‐エンタテインメント産業はビジネス的にどのように進化すると思いますか?

エンタテインメント市場はこれから引き続き大きくなるものと予想しています。資本主義の論理で見ると、余裕が生まれればより楽しみたくなるんですよ。そのため、エンタテインメント市場はさらに増大するでしょうし、そこにSMがパイをどのくらい持てるかがカギでしょう。これから私たちはセレブリティビジネスに力を注ぎ、彼らがデザイナーと出会って製品を生産し、キュレーションすれば、また違ったビジネスモデルを作れるとみています。

‐SMTOWN COEX ARTIUMをはじめとして、SMT SEOUL 、SUMなど、この2年間SMに多くの変化がありました。SMコンテンツを活用した多様な試図をしているように見えます。

セレブリティとメディア、メディアとコマース、コマースとセレブリティが緊密で有機的に連結されている世界です。このような世界をより加速化するのがモバイルインターネットであり、モバイルインターネットによってマーケットは国内ではなくグローバルになりました。このような世界と市場で信頼を基盤にしたメディアの必要性を感じ、そのビジョンに共感するデザインハウスとSMが手を握り、雑誌『The CELEBRITY』を作りました。セレブリティ、メディア、コマースがオフライン雑誌とオンラインコンテンツで有機的に結合し、新しい市場を作る事業に発展することを期待しています。

‐最後にSMエンタテインメントビジネス事業の最終目標は何でしょうか。

SUMプロジェクトの事業はよい協業と満足できる結果物を作り出すことが重要ですが、事業的には協業に参与された方がどのくらい成果を出すかが重要だと考えます。ここでいう成果とは売上を含めた経済性の結果のことです。また、世界進出が一緒にかなえられればと思います。SMとしては今回のプロジェクトと共にセレブリティをブランディングし、マネージメントする会社として跳躍し、モバイルインターネット市場とグローバル市場でアジアを代表する全世界的エージェンシーになれば、と思います。

インタビュー:ジョン・ウンギョン編集長

 

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デザインの専門誌に掲載されたインタビューということもあり、かなりビジネス戦略に寄ったインタビューなので、読んでいて少し嫌な気分になる人もいるかもしれません…。無邪気にアドレナリン発散させられないな、みたいな。でも、こういうSMの戦略があるからこそ、私たちファンはデザイン性の高いSMアーティストのもろもろが楽しめるんだ…(ちょっと高いけど…)と複雑な思いに駆られつつ、そしてやはりSM、という学びも多いインタビューでした。

ただ、日本の展開に関しては、まだいまいち残念感が否めないというのが正直なところ。SUM MOBILEも成功している感じがしないし、SUM、SMT東京はいわんや…。本国とSMジャパンの連携ってどの程度なのか分かりませんが、日本のSMファンを失望させないように頑張ってほしいですよね…。

いくつか昨年8月のソウル旅行のときの写真を貼っておきます。ヘッダのSMTOWNの写真もこの時のものです。想定してたわけではないので、たいした写真がなかったのですが…。

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三成洞のSM本社
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本社建物駐車場側の側面にはLP風にジャケットが飾ってあって、アガります。

 

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本社入り口入ったところ  インタビューのとおりカフェと地下にSUM マーケットがあるので誰でも入れます。
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絵ハガキなどで商品展開している、アーティストのイメージイラストを展示してました。
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SUMマーケットにあったSHINeeとEXOの水。デザインおしゃれです。高かったけどw
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清潭洞の旧社屋も新しい施設にリニューアル中でした。もうオープンしたかな。

 

 

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