1月18日にリリースされた、f(x)ルナ、EXIDハニ、MAMAMOOソラの3人とパク・グンテプロデュースのコラボシングル“HONEY BEE”。メンバーも豪華だし、今のK‐POPの流行りのひとつでもある80年代風NU DISCOな曲とMVの雰囲気でなかなかのインパクトがありました。この曲をフックにして、80年代風の要素の一つである日本のRoland社のドラムマシン TR-808を切り口に最近のSM 、YG、JYPのヒット曲を絡めた記事を訳しました。TR-808の歴史やK-POPへの影響などがわかる記事です。
原文はこちら 30년 넘게 ‘현역’인 이 소리, 루나·하니·솔라도 택했다 롤랜드 TR-808 드럼 머신… ‘복고+미래 지향’의 소리, 808을 아십니까?http://star.ohmynews.com/NWS_Web/OhmyStar/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002282788&PAGE_CD=SPVEW
2017/01/24 by キム・サンファ
“HONEY BEE”は重みのある808のベースと華やかなサックスの組み合わせが引き立つポップソウルで、甘い“蜜”を武器に相手(虫)を誘惑する挑発的でありながらもキュートな歌詞が印象的だ。‐ルナ+ハニ+ソラのコラボレーションシングル“HONEY BEE”報道資料より
最近発売された新譜広報資料を注意深く見てみると、808というワードを頻繁に見ることができる。ここで言及されている808は、当然ながら有名な二日酔い飲料の名前ではない。
便宜上、808と呼ばれるこれは1980年に発売されたRoland社の“TR-808”というドラムマシン(ドラムパートを自動で演奏するために開発された電子楽器の一種)だ。あらかじめ内蔵されている多様な“リズム+ドラムパターン+サウンド”を自動的に反復して再生し、実際の録音で既存のドラムおよびベースの音を代用するに至っている。
▲ローランド TR-808 ドラムマシン ⓒ Wikipedia
ヒップホップ、ダンス、エレクトロニック等多様なジャンルで愛用
1980年代当時は技術的問題により、最近のように多様な仮想楽器の複雑なリズム演奏を簡単に表現できなかった。この限界も明らかに存在していたが、かえって草創期のヒップホップ、R&B等単純なリズム反復が必要なジャンルでTR-808が非常に歓迎された。
アメリカR&Bの伝説、マーヴィン・ゲイの生前最後のヒット曲“Sexual Healing”はまさに808サウンドの妙味をよく生かした代表曲中の一つと評価されている。マーヴィン本人が直接808の機器を扱ったが、人為的な手拍子のような音でフレームを備え、水が流れるようなドラム+ベース展開で耳を楽しませるように作った。以後、808はアメリカ黒人音楽で重要な道具としての位置を得ることになった。
ホイットニー・ヒューストンの“I Wanna Dance With Somebody”もやはり808をうまく活用した名曲中の一つと評価される。この曲では1980年代に人気があった電子ドラムと808を適度に混ぜて豊かな音を作って活用した。(プロデューサー&ドラム演奏:ナラダ・マイケル・ウォルデン)
韓国では1990年代に入り、アメリカのヒップホップ(ニュージャックスイング)に影響を受けたダンス曲を、808を導入した草創期の事例ということができる。特にヒョン・ジヨン、DEUXを率いたイ・ヒョンドの曲たちは基本的にこの機器が作り出したリズムを中心に多彩な面白さをもたらしている。
21世紀、808サウンドの復活
ヒップホップおよびエレクトロニックサウンド(EDMトラップ)の人気に後押しされ、808は最近、第2の全盛期を迎えている。いわゆる「レトロ」という名で過去の感性を込めながらも未来志向的サウンドを合わせるという独特さを備えているからだ。
アメリカのヒップホップスター、カニエ・ウェストはさる2008年、自分の4枚目のアルバム<808s&Heartbreak>で、タイトルから808を全面に押し出した。最近国内で発表された少なくないアイドルダンス曲においても、やはり808基盤のベースおよびドラムサウンドを活用していないケースを探すのが難しいくらいだ。
いわゆる、3大事務所(SM-YG-JYP)もやはり808基盤の曲を大挙して作り出している。相対的にヒップホップの影響が少ないSMでも海外作曲チームであるLDN Noizeの曲を中心に多様な作品に活用している。代表的なものにRed Velvetの“Dumb Dumb”を聴くことができる。
YGの場合、発表する曲の基本に早くから808サウンドがその座を占めて長くたつ。実際のTR-808の機器をそのまま使うことで知られている代表プロデューサーのTEDDYにより、昨年デビューしたBLACK PINKの曲たちにもやはりこういった影響圏におかれている。
JYPの次世代グループGOT7の最近のヒット曲“Hard Carry”ではEDMトラップの要素を多く取り入れている一環で808を下地にしたノリのいいサウンドをつくりだした。
TR-808 は発売3年後の1983年に廃品になり、後続機種TR-909が発売された。しかし30年余りが過ぎた現在まで、808は第一線の音楽家たちに広く愛用される楽器として愛されている。実際の昔の機器をそのまま使用する音楽家は制約上多くはないが、大概各種のシンセサイザー、ソフトウェア上の仮想楽器が作り出す808サウンドで代用している。(現在、ebay等では3,000~4,000ドル程度で取引がされている。)
1980年に登場した電子機器のサウンドが今の音楽でも広く使用されていると予想した人はおそらくほとんどいなかっただろう。相変わらず2017年にも必須楽器+サウンドとしてその座を占め、老いてますます盛んなこと(?)を誇示している。808の人気がいつまで続くか分からないが、当面はこれを基調にした曲たちが大衆をターゲットにたゆまず制作される展望だ。
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ここのところ、作詞・作曲やプロデューサーといった切り口の記事やインタビューを訳していたので、TR-808という機材を切り口にしたのが面白く、また個人的にも好きな80年代のルーツも絡んでいて、思わず訳したくなってしまいました。80年代風、というワードは曲にしろファッションにしろ、最近のK-POPでよく聞くワードですが,こういう機材からの切り口はあまりないかと…。808と聞いてピンとこない若いK-POPリスナーの方にも、分かりやすくて興味深く読める記事なのではないかと思います。
日本では80年代にYMOが使っていて、一連のテクノポップブームの礎でもあったりとか、90年代イギリスのテクノ・ハウスグループ、808ステイトはその名前がTR-808からきていて、TR-808が日本ではよく「やおや」と言われていたので、やおやステイトと呼んでいた笑、のとかいろいろ思い出しますが、そういったTR‐808の歴史のなかにK-POPが連なっていくというのも感慨深く思います。
一旦箸休めをしたので笑、次は長いこと温めていたSMのA&R室長イ・ソンスと作詞家キム・イナの対談を訳したいと思います。
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